
最近、積極的なリチャードさん
長年のあいだ謎めいた狂人兼天才として伝説的に語られてきたAphex TwinことRichard D. James。
けど最近はSNSの普及に便乗してか、わりと積極的に世間にコミットしていっているような印象をうけます。

Syro(2014)の飛行船から始まって...

SoundCloudでの未発表曲の大量放出、
https://www.youtube.com/watch?v=ZEP-Qpw3lHg
ダブリンに住む12歳の少年にMVをつくってもらってたり...
https://www.youtube.com/watch?v=e0xRyLxjUqQ
大統領選ではトランプとヒラリーの討論映像を加工した気味の悪い、しかし珍しく政治的なビデオを投稿してたりします。
そしてつい先日も、自身専用のサイトを開設していました。(このサイトで今までに発表されたほぼすべての曲を視聴・購入できるようにする予定らしく、既にだいぶアップされていますが、全曲無料でフル視聴できます。)
あれ、もしかしていいやつじゃね
で、ここで本題なんですが、僕は最近彼へのイメージを改めたんですね。いまも気味の悪いイメージは保ってるんですが、それだけじゃないんだなと。
それはなぜかっていうと、彼のSoundCloudでの一般ユーザーに対するコメントがめちゃめちゃ誠実だからです。
2017.07.22現在で、彼はSoundCloudに自身のアカウントでコメントを1297件(!)残してるんですが、そこでのリチャードは「謎めいた狂人」のようなイメージとは似ても似つかない、むしろ「物事をしっかり考えてる、率直でオープンないいやつ」なんですね。
というか、最近はリチャード自身が意図的にそういう地に足のついた面を出してきてる感じもします。
まず、彼は自身のSoundCloudアカウントの説明文にこう書いてます。
"Quick note, been meaning to say this for ages, I don't have a Facebook or Twitter account nor have I ever had one and I've no idea who runs those pages. "
「長いこと言おうと思ってたんだけど、俺はフェイスブックやツイッターのアカウントなんて持ったことないし、あの(Aphex Twinの公式)アカウントも誰がやってんのか俺は知らないから」
「そのかわりSoundCloudでは俺がほんとにアカウントやってるよ」って話なんですが、このことはあんまり日本で紹介されてない気がするので、ファンのなかでも気づいてない方がいらっしゃるかと思います。
そこで今回は、SoundCloudでの彼自身のコメントをいくつか紹介してみます。彼のイメージがちょっと変わるかもしれません。
名言 from SoundCloud
曲の分析について
"i usually only analyze tracks when i dont like them, if I love them it just exists in my head in a no thought area."
「基本的に、俺が曲を分析するのはそれが気に入らなかったときだけで、いいなって曲は無意識の領域にそのままのかたちで残しておく」
曲の分析について その2
"usually i only analyse when i dont like something and I automatically re-write it in my head, it's a good excercise, imagine you have the track up on the mixer and then what you would do to make it good"
「俺が分析するのは曲の何かが気に入らないときだけで、そういう曲をきくと俺の頭は自然とそれをリライトする。それがいいエクササイズになるんだよ。そのトラックがミキサーにあるのを想像して、よくするためにはどうすればいいかを考えたりしてさ」
あたま
"your mind is a tool and should not be your master. "
「君のあたまは道具に過ぎない。それに縛られちゃいけない」
学ぶこと
"I think I have to be learning something when making tracks, even if it’s something very small.If there’s no learning involved, I wouldn’t get excited enough to do anything. "
「俺はトラックをつくる過程において、たとえそれがすごく小粒な作品だったとしても、そこに何か学びがないとダメなんだと思う。何をやるにせよ、そこに学びがなければ、俺は興奮しきれないんだ」
15年前の自分
"i used to think that about 15 years ago, then i realised how dumb i was being"
「15年前は俺もそう思ってたけど、すげえバカだったなってあるとき気がついたよ」
Steve Reich スティーヴ・ライヒ と過ごしたひとときについて
" I had a really magical conversation with Steve Reich after I performed it, who loved it very much, he offered to release it on Nonsuch records. (......) in fact this conversation I had with him was amazing and we exchanged many great ideas. I kept then bumping into him , 5 times in fact in 2 days and even ended up sitting next to him on the plane home, talk about synchronicity!"
「スティーヴ・ライヒとはライブのあと素晴らしい会話ができたよ。ライヒは俺のライブをすごく気に入ってくれて、音源をNonsuch Recordsでリリースしたいと言ってくれた。(...省略...) 実際、ライヒとの会話はほんと最高で、良いアイデアをたくさん交換したね。それでなんと、俺はその2日間のうち5回もライヒに偶然出くわして、結局飛行機の搭乗口で2人並んで座って、シンクロニシティについて話してたんだ!」
大好きな映画
"one of my fave films/plays by one of my fave directors mike leigh abigails party "
「Abigail's Partyは、俺の大好きなマイク・リー監督による、俺の大好きな映画/劇」
聴きたい曲が見つからないリチャード
"shit can anyone find the b side to hey hey can u realte, dj minx, the elctro flute one its totallu dope"
「くっそ、誰かhey ! hey ! can u relate ? dj mink のBサイド見つけてくれないかな、エレクトロ・フルートのやつ、あれ超ドープなんだよ 」
ええやつやん
いかかでしたか?
この他にも、一般ユーザーの曲に対する賞賛を気軽に行なっていたり、SquarepusherことTom Jenkinsonから受けた影響や、好きな曲、機材やセットアップのことなど、驚くほど素直に包み隠さず話していて、生まれながらの天才、それこそモーツァルトのように語られることも多いリチャードですが、そのイメージとは裏腹に、すごく率直で誠実な一面があるんだってことがわかりますよね。
というよりむしろ、Richard D. Jamesという人はもともとが音楽や知識の共有について非常にオープンな人間で、いままではただその一面を露出させるプラットフォームがなかっただけ、というのが案外正しいのかもしれません。
彼が本格的にシーンに登場しはじめた90年代というのは、Linuxなどのオープンソース文化が非常に活気づいていた時期でもあるようですし、その共有をよしとするハッカー精神が、当時からコンピューターで制作を行なっていた機材オタクな彼に根づいていると考えても、全く不自然ではないと思います。
というわけで以上、Aphex Twinを謎めいた狂人のようなイメージだけで語るのは現在の彼、というかそもそもの彼とはずれてるよね、って話でした。
フジロック2017
さて、そんな彼、今日からちょうど1週間後にフジロックのヘッドライナーとして来日することになっています。

フジロックへの出演は、1997年の第1回以来、つまり20年ぶりとなります。
20年の時を経て、彼はどんなパフォーマンスをみせるのか。第1回では嵐の中、終始犬小屋にこもってライブしたらしいですが(笑)
気になる方は、ぜひ足を運んでその目で確かめてきては?
↓ 個人的に好きな1曲を貼っておきます。今回の記事で気になった方はぜひ。
https://www.youtube.com/watch?v=-iEl7OKrLGI